「ホーク」

あたしはホークの指を引っ張った。


「どうした?」


「あたし、これから召喚魔法を使う。短剣を貸して」


「短剣? いったい何に――」


「ねえ、たまには黙って見守ってくれない?」

あたしは微笑んだ。

「一世一代の召喚魔法を見せてあげる」


ホークは迷った末に、あたしに短剣を持たせた。


あたしは<謁見の間>の中央まで行くと、荷物を下ろし、革袋の中から丸めたタペストリーを引っ張り出した。

床に広げたタペストリーの中で、ユニコーンが楽しげに跳ねている。


「開け異界の門よ――」


声が震えた。


「光と共に我が下へ来たれ 癒しの力よ

 魔術の神、異界の主、偉大なるトーンの名において我召喚す

 いでよユニコーン

 罪なき者の守護者よ」