「まあ……」

母は困ったような声を上げた。

「サンディ、織物は趣味だとばかり思っていたわ」


「どうして? 織り師は庶民の職業だから?」

あたしは急に悲しくなった。

「あたし、魔導士なんてなりたくない。魔法の才能なんて全然ないんだもの」


「伯爵様には言ったの?」


あたしはかぶりを振った。


「言えるわけない。そうかと言ってお姉ちゃんみたいに薬士になれるだけの頭もないし」


「そうね。あなたが薬士になったら大変だわ。病気がますます重くなりそう」

母は冗談めかしてそう言った。


「ホークにちゃんと言わなきゃなんないのは分かってる。でも――」


「伯爵様はお怒りにならないと思うわ」


「怒られるのが怖いんじゃないの。がっかりされるんじゃないか、そっちの方が怖い」