幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

ホークは腕の中でクルリとあたしの向きを変えると、額にキスをした。


「一月だ。それ以上は待たぬ。ここの塀をぶち壊してでも連れ帰るからな」


ホークは左手を軽く振り、あたしの目の前に差し出した。

手の平に黒い小鳥が乗っていた。

鶫(つぐみ)のようにも見える。


「何かあったら空に放せ。すぐに駆け付けるから」


「うん」


あたしは鼻をぐずつかせながら、ホークに抱き着いた。


夜の闇に紛れてホークが去った後、あたしは一人、瑠璃宮に戻った。


途中、ラドリーン姫のタペストリーの前で足を止める。

暗闇のさなか、タペストリーは微かな光を纏っていた。


あたしは、タペストリーの中の恋人達を見上げた。


馬鹿みたい

今頃気づくなんて