幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

「それで、い、院長様は何とお答えに?」


「まだお返事をしていません。本当の事情を教えてちょうだい。もしもあなたが伯爵様から逃げて来たのなら、匿(かくま)う事もできますよ」


とんでもない!

ホークにそんな汚名は着せられない。


「実は……あたし、勝手に家出して来たんです。ホーク――いえ、伯爵様が修道院入りは絶対にダメだって言うから」


「あなたは修道女になりたがるタイプには見えないけれど?」


「あたしはタペストリーが見たかっただけなんです。瑠璃宮にある、あの大きな幻獣のタペストリーを」

あたしはため息混じりに言った。

「でも、誤解があって。あたしが本気で修道女になりたがっていると――すみません。皆様、本気で来ているのに」


「いいのです。皆が皆そうではありませんから。それでは帰る事に異存はないのですね?」


あたしは頷いた。


「ただ、どうでしょう……あなたは王妃様のお気に入りですから、退出を許されるかどうか」