あたしの横でジェニスタが優雅にお辞儀をした。

あたしも慌てて頭を下げる。


王妃様はあたし達の前まで来ると、

「ジェニスタ」

と声をかけた。

「このような寂しい所まで、よく来てくれました」


「王妃様、お仕えできる事になり光栄でございます」

ジェニスタは、あたし達といる時とは別人のように素直な物腰だった。


「それと、アレクサンドラ?」


「はい、王妃様」

どんな理由で呼ばれたのか分からないあたしは、緊張して返事をした。


「タペストリーの古い文字を読んでいましたね?」


「はい」


「ここに来た時に尼僧達に尋ねましたが、誰も分かりませんでした。聞けば、あれは古い文字で、今でも使っているのは魔法使いだけだとか」


「魔導士です」

あたしは訂正した。