「伯父さんがいるはずなんだけど……おばあちゃんの長男よ。でも、何年も行方知れずなの。どこにいるのやら」


たとえあの子達が孤児になったとしても、けして困らないように、ホークが手配するだろう。

でも、小さな子供が育つには衣食が足りればいいってものじゃない。

せめて、長兄のルーが帰って来ればいいのだけれど。



間もなく、あたし達はアナの家の前に着いた。

やけにシンとしている。

家の中に入ってみたけれど、誰もいない。


「フィン?」

ローズマリーが、戸口から外に向かってアナの兄の名を呼んだ。


「こっち!」

返事が聞こえた。

「納屋の前にいる!」


この家には、裏手にあるささやかな畑の手前に大きな納屋がある。

多分、昔は牛でも飼っていたのだろう。

そんな大きな納屋の戸口で、この家の真ん中の子、フィンが扉と格闘していた。


「助けて! 開かないんだ。おばあちゃんが中にいる」