「もう少しいてくれ。お前一人を先に戻したら、母上に何を言われるか分からん」


ホークはあたしの両脇を抱えると、どっしりとした書き物机の上にひょいっと座らせた。

そしてそのまま、あたしの近くに立ってマクリーン達と話を続ける。

机の上には大きな羊皮紙が広げられていた。


地図かな?


あたしは足をブラブラさせながら、彼らの話を聞いた。


「この地域まで汚染が進んでいる」

リーが地図を指差した。


「先々月にゲオルグが来た時は、この辺りまでと言っていた。早過ぎないか?」

と、ホーク。


「確かに早過ぎるな」

マクリーンが腕を組みながら言う。

「ゲオルグがよほど阿呆なのか、誰かが計画的にヒュドラを放しているかどちらかだな」


「あるいはその両方か」

ホークは容赦がない。

「だが、ヒュドラを持ち運ぶとなれば、危険がともなわないか?」


複数の擬似頭を持つことから、七つの頭を持つ伝説の大蛇の名で呼ばれるヒュドラは、水辺に棲息する毒蛇だ。