春。


あたしは大学生になった。



あの列車に乗ることはもうない。



だけどあたしの心の中では、今でも涼の姿がはっきりと見える。



各駅停車の列車に乗り、涼と共に過ごしたあの日々を、あたしはずっと忘れない――。





あたしは大学で美術の勉強をした。


そしてたくさんの絵を描いた。



どれもそれなりにうまく描けたけれど、あたしはなかなか自分の作品に満足できなかった。