放課後、オレとキヨちゃんは、しばらく教室で話していた。


今日のシブヤさんのこと…。


キヨちゃん、何にもしてないはずなのに、何でキヨちゃんのせいでシブヤさんが彼氏にフラれなきゃいけないんだ…!


第一、シブヤさんと今日初めて口をきいたようなキヨちゃんが、そんなこと出来るわけがない…。




…そんなことを一人で思いながら、「ちょっとトイレに行ってくるね」と言って出ていったキヨちゃんを、オレは机の上に座りながらプンプン怒って待っていた。


キヨちゃん、遅いなぁ…。


そう思っていたら、ちょうど小走りに教室へ駆け込んできたキヨちゃんが、なんだか息を切らしながら指を押さえて、自分のカバンの中を探り始めた…。


「…ご、ごめん…、ちょっと遅くなっちゃった…」


そう言うキヨちゃんの人差し指の先から、ジワリと血が滲んでいるのが見えた。


「キ、キヨちゃん、どうしたの、その指…!大丈夫…!?」