…公園でのひとときを過ごした後、俺は家に帰ってきた。
庭で自転車を止めていると、声をかけられた。
「大地…!」
その声は、隣に住む幼なじみの女子、高橋優雨(たかはし・ゆう)だった。
優雨とは同い年で、小・中学校はもちろんのこと、高校までもが同じところになってしまった。
優雨もちょうど今帰ってきたところらしく、自転車でうちの前を通り過ぎるところだった。
「おう」
「大地、今帰ってきたの?学校終わってすぐ出てきたにしては、遅いじゃん」
「あぁ、ちょっと寄り道。そっちこそ、部活は?」
「美術部だからね。みんな、秋の芸術祭の時期にならないとなかなか顔出さないから。普段は好きな時に行って、好きな時間に帰るのが普通なんだよね」
「へぇ、そっか」
「あ、そういえば明日、大地のクラスに転校生来るんだって?」
「あぁ、なんかそうみたいだな」
「5月なのに、こんな中途半端な時期に珍しいね。どんな子が来るんだろう?」
「さぁ…」
俺は、じゃあ、と片手を上げて、玄関に向かった。
「うん、じゃあね」
そう言って、優雨も自分の家へと入っていった。
