鈴木清風がやって来た次の日、俺は一言も口をきくこともなければ、目を合わせようともしなかった。


ただ、一方的に、気付かれないように眺めていただけだった。


なぜって?


それは、自分でもよくわからない。


だけどアイツが、なぜか俺の心の中でいちいち引っ掛かるのは事実だった。


理由?


それもわからない。


ていうか、たぶん理由なんてないんだと思う。


そのことに理由をつけようものなら、俺のこの人生自体がまるで無意味のように思えるのだから、理由も何もあったもんじゃない。


逆に俺が知りたいよ、この退屈な毎日の意味を…。




…そんなことを考えながら、俺は今日も学校帰りに、公園の藤棚の下のベンチで仰向けになっていた。