「ねぇ、タカハシさんはソレ、何描いてるの?」


そう言って、田中くんが私の絵をのぞきに来た。


私は相変わらず色鉛筆で、何を描くわけでもなく、ただ無意味に色彩を奏でているだけだった…。


「あぁ…!これは、ただの暇潰し…。見せられるようなものじゃないし…」


そう言って隠そうとしたが、もう遅かった。


「わぁ~、きれいなグラデーション!」


田中くんは子供みたいに、目を見開いてそう言ってくれた。


「…ア、アリガト…」


すると、田中くんの後ろから、鈴木くんものぞき込んで言った。


「ホントだ、きれい…。やさしい色彩だね。虹色の雨みたい…」


「え…?」


私は思わず鈴木くんの方を見た。


鈴木くんは、ただ私の絵を見つめて、優しく微笑んでいた…。


「おぉ~、確かに…!なんか、そんな感じする!」


一緒になって、田中くんもそんなふうに言ってくれていた。