「そういやフウカちゃん、天照(てんしょう)高校に編入したんだって?」
突然話題を変えて、エイサクさんが聞いてきた。
「…ええ、そうです」
「あそこはなぁ、俺の姪っ子がいるんだよ!美術教師やってんの!」
「そうなんですか?」
「まぁ、それは偶然ですねぇ…!」
隣で母さんが言った。
「永作っていう、いまだ独身の三十路の先生がいるからよ、ぜひ挨拶しといてやってくれよ、フウカちゃん!…確か、美術部の顧問やってるって言ってたなぁ!」
そう言って、ガハハと笑うエイサクさん。
「まぁ、姪っ子さんも美術の道に進まれたんですねぇ」
母さんも微笑みながらそう言い、僕も笑って答えた。
「はい…!ぜひお会いしてみます!」
…そんなことを話している時だった。
気付けば、稽古場の三味線の音も止んでおり、今稽古を終えた一人の女性が、控え室に姿を現した…。
