「…うん、その可能性はあるけど…、でももう、断るかも」
「…断る?」
清風は黙ってうなずくと、窓の外を眺めながら言った。
「…これまでは、家元に言われるままに、あちこちに拠点を置いて、踊ってた。…女形の寿々喜風花を、楽しみにしてくれてる人がいっぱいいたから」
「……」
「…でもね、最近、少し思うようになったんだ…。僕にとって、必ずしもそれだけがいいことなのかな、って…」
「…って、いうと?」
俺は、首を傾げてそう聞いた。
「…前に、大ちゃんも言ってくれたよね。…僕は自分のことより、周りのことばっかり気にして生きてるんじゃないか、って…」
「…あぁ」
俺は、そんなことを言った時のことを、何となく思い出していた…。
