退屈な授業が始まると、俺は窓の外をボ~っと眺めたり、ノートに落書きしてみたりして、先生の話などちっとも聞いていなかった。


意識して耳を傾けなくたって、俺にとって本当に必要な情報なら、きっとイヤでも耳に飛び込んでくる。


俺は、そう信じている。




「――……で、……だったが、……この時、……をやった人物は誰か?え~っと、じゃあ、佐藤!」


「…おい、大地、お前だよ…!」


隣のヤツに小声で呼ばれて、俺は気付いた。


「ほぇ?」


「おい佐藤!ちゃんと聞いてたのか?今の問題に答えてみろ!」


先生が超恐い顔してこっちを見ている。


「…え、サトーって、俺すか?」


「このクラスには、佐藤はお前一人しかいないだろう!」


わざとらしい俺のトボケに、教室で小さな笑いが起こる。


「…すいません、えっと、聞いてませんでした」


そう言うと、先生は呆れた顔をして言った。


「まったく…!お前はもっと、日本の歴史や伝統文化に関心を持たないかぁ!そもそもだなぁ、……で、……なんだぞ!……――」


その後、俺の耳はあまりの興味のなさに、再び塞がれてしまった。


日本の歴史?伝統文化?


俺にはおそらく関係ね~よ、そんなこと、これから先も、ず~っと…。