…そしていよいよ、清風の母さん、…寿々喜風翠さんの舞台が幕を開けた。
演目は、『大和楽(やまとがく) おせん』と書かれていた。
長唄とか、大和楽とか、いろいろ種類があるようで俺にはよくわからないけれど、この曲は、これまでずっと耳に馴染んでいた男性の唄声ではなく、何重奏にも響く美しい女性の唄声であった。
…薄暗い舞台が徐々に明るくなり始めると、うちわを持った女性が、そこにしっとりとたたずんでいた。
…あれが、清風の母さん…。
陽太郎も、隣で同じことをつぶやいた。
「…あれが、キヨちゃんのお母さんかぁ…。キレイな人だね…、なんか、やっぱりどことなく雰囲気似てる気がする、キヨちゃんと…!」
「あぁ、そうだな…」
