…幕が上がると、そこには涼しげな水辺に、菖蒲の花たちが咲き誇る景色が広がっていた。
…そして、そこに姿を現したあの人、…寿々喜風絢。
会場からは、やはり大きな拍手や、「風絢~ッ!」といった声援が送られた。
…清風の藤娘よりはずっと落ち着いた、芸者のような格好であり、その風貌は確かに綺麗で、大人の色気のようなものを感じた…。
…俺には、踊りのことなんてわからない。
清風の踊りも、この人の踊りも、どちらもただ上手いと思う…、そのぐらいのことしか、言えない。
けれども…。
俺には、この人への嫌悪感があるせいか…、その踊りを、純粋に美しいと思うことができなかった。
