…ゆっくりと幕が開き、最初に登場したのは家元だった。
舞台の中央に、扇子を前に深々とお辞儀をして座っている姿が浮かび上がった瞬間、場内からは大きな拍手が送られた。
三味線の音が流れ始めると、紋付き袴姿の家元は、威厳のある雰囲気漂うオーラをまとって、ゆっくりと舞い始めた…。
「…うおォ、あれが、キヨちゃんの叔父さんで、カザミネさんのお父さんかぁ…!…すげぇ…!!」
陽太郎くんが、小声でつぶやいた。
「…いきなり家元の登場かよ…」
隣で大地がそう言うと、永作先生がそっと囁いた。
「…こういう舞台では、まず最初に、家元がこういった御祝儀ものの踊りを舞うみたいよ…!」
「御祝儀もの?」
「うん。お祝いの席なんかで披露する踊り」
「へぇ…」
キリッと、ビシッと男らしく、力強く、それでいて繊細で美しい家元の踊りに、私たちは吸い込まれるように見とれていた…。
