こちらに背を向けている男の人は、僕に気付いていないようだ。 僕は、そんな二人を、…絢姉さんの顔を、見ないようにして歩いた。 …二人のすぐそばまで来た時、絢姉さんは、まるでたった今気付いたというように、パッと男の人から唇を離した…。 男の人も、慌てたようにこちらを振り返り、気まずそうに顔を背けた…。 「…あらヤダ…、お帰り、風花…」 そう言って、僕の目を見て不適な笑みを浮かべる絢姉さんに、僕は黙って頭を下げ、庭に自転車を置くと、足早に玄関へと入っていった…。