「…『藤娘』に、出てくる言葉」 「…イトシトカイテ、フジノハナ…?」 「…うん」 そう言ってうなずくと、キヨちゃんは細長いきれいな指先で、空中に文字を書き始めた。 「…ひらがなの『い』を、縦に十個書いて…」 オレは、一緒になってそれを真似する。 「…その、縦に並んだ十個の『い』を、一本の線で貫くように、縦に長~く『し』を書くの」 オレもそれに従って、今書いた『い』の上から、大きく一つの『し』を書いた…。 「…『い』、『十(とう)』、『し』、と書いて…、藤の花…」 「…あぁ!!」