…放課後、相変わらずダイチは一人でさっさと帰ってしまったけど、オレはいつものように、キヨちゃんと一緒に帰った。
自転車を押しながら、オレとキヨちゃんはゆっくり歩いていた。
「…ねぇ、キヨちゃん」
「ん?」
「…キヨちゃんさ、この前、「フジムスメ」って言ってたでしょ?…あれって、何のことだったの?」
キヨちゃんは、あぁ、と思い出したように言った。
「…日本舞踊にね、『藤娘』っていう、踊りがあるんだ」
「踊り…?なぁんだ、そうだったのかぁ…!オレ、てっきりキヨちゃんが、藤の花の妖精でも見えるのかと思ったよぉ…!」
オレが笑いながらそう言うと、キヨちゃんも笑っていたけれど、その中にも少し真面目な表情を浮かべながら、続けて言った。
「…うん、妖精は見えないけど…、でも、なんとなく、感じてはいるよ」
「…え?」
