「…何の騒ぎ?」
稽古場の隣の和室に入ると、風嶺さんは言った。
その後ろから、僕もそっと中をのぞく。
「い、いやぁ、悪かったよ、アヤちゃん…。そんなに怒らせちまうなんて、思わなかったからさぁ…」
床にお尻をついて座っているエイサクさんが、まるで降参というように胸の前で両手を上げながら、怯えた様子でそう言っていた…。
その向かい側には、エイサクさんをひどく睨み付けて立っている、絢姉さんの姿…。
おととい見た時は、お稽古の後だったから和服姿だったけれど、今日は違う。
大人っぽい、露出の多い服装に、ブランドもののバッグ、周囲にまで漂ってくる香水をつけて、ウェーブがかった長い茶髪をバッサリと下ろした、私服姿の絢姉さんがそこにいた。
そばに座っていた母さんも、どうしたものかと戸惑いながらその様子を見ている…。
