…そんなことを話しながら、僕たちは家に着いた。
お弟子さんのお稽古日ではなくても、家元が常にレコードをかけ、毎日踊りの研究をしているようなこの家からは、玄関の戸を開けると大概三味線の音が聞こえてくる。
しかし、今日僕たちが玄関を開けた時、聞こえてきたのは三味線の音などではなかった。
「…エイサクさん!これ、いったいどういうことよッ…!?ちゃんと説明してよ!!」
…ドクンッ…。
三味線の音の代わりに聞こえてきたのは、なぜか怒りに満ちた、絢姉さんの声だった…。
ふと見ると玄関には、絢姉さんのものと思われる、ヒールの高い靴がある。
絢姉さんが、来ている…。
「…何があったんだ?」
風嶺さんはそうつぶやくと、険しい顔をしながら部屋の奥へと進んでいった。
僕も、嫌な予感を胸に抱きながら、その後に続いた…。
