「相変わらずだったっしょ、アイツは」
「……」
「…まったく、困ったもんだよねぇ。どこで教育間違えたかなぁ?…ゴメンな、風花。アンタにいちいち嫌な思いさせちゃって…」
「そんな…、風嶺さんが謝ることじゃあ…」
「いいや!アタシにも責任はあるよ。…この由緒正しき寿々喜流を継ぐ者として、若い子らの面倒はしっかり見とかないとなッ!!…なぁんて、こんなナリして言っても説得力ないか…!?」
そう言って、風嶺さんはアハハと笑った。
僕もつられて、少し笑う。
「…でも、何かされたらいつでも言いなよ?…風花はやさしいから、すぐ一人で背負い込もうとするからな」
「……」
「…大丈夫だよッ!アタシにチクッたところで、別に絢を悪いようになんてしないから!…あんな生意気なヤツでも、アタシにとっちゃあうちの大事なお弟子さんに変わりないんだからさ…!」
「…うん。…ありがとう、ございます…」
僕は、ポツリとそうつぶやいた。
「…ま、今日は稽古日じゃないし、絢に会うこともないんだから。そんな暗い顔すんなって…!」
風嶺さんにそう言われ、僕は顔を上げて微笑んだ。
