「バーカ」
不意に、そんな声が聞こえて。
え? と顔をあげると。
「ひ…ろ…き?」
なぜかあたしは紘毅に、
抱きしめられていた…。
「出て行く必要はないと、言ったばかりだろ?」
「でも、こんな体…」
「関係ないだろう?結希は結希だ」
その言葉にあたしは、
涙が溢れ出た。
あたしは、あたし…。
「結希…?」
「紘毅…」
「ん?」
「好き…」
「………へっ!?」
好きだよ、紘毅…。
「好き。紘毅が、好き」
怖さ故に、あたしは、
無意識のうちに、
無意識の領域へ
追いやっていたの。
この、キモチを…。
あたしは、怖かったの。
体中の“傷”を見て、
軽蔑されることが。
同情されることが。
怖くて怖くて…怯えてた。
同じことが
繰り返されないために、
同じ思いをしないように、
あたし心に、蓋をしたー…。

