「誕生日だったんだね」
隣に座った〝P〟の男があたしに声をかけた。あたしはピースサインを指でつくると、サラに後ろから羽交い絞めにされたまま、ニヤリと微笑んでみせた。

「おめでとう。いくつになったんだ?」
「19になったのよ」
あたしが返事をする前に、サラが飛び切り嬉しそうな顔を上げて、彼に笑顔をみせていた。

「そうか。俺は22。名は……レイヴ。レイヴだ」
「よろしく。レイヴ。あたしはアーシェ。こっちは」
「サラ!」
歌っている時とは別人のような人懐っこいサラをみて、レイヴはふっと笑った。