「アーシェ!聴いてくれてた?!」

小さく翼と羽を折りたたんで、サラは屈託のない笑顔であたしを呼びながら、小走りにカウンター席へとやってきた。

白のドレスがふわりと舞って、その後姿に男達が振り返る。彼らがヒューィ!っと口笛を鳴らすと、サラはそれに気づいて、振り返りながらドレスの裾を押さえた。

「聴いてたよ。サンキュ!」
野次に舌をペロっと出しながら悪態をつくと、サラが後ろからあたしに抱きついた。

「誕生日おめでとう。アーシェ」
柔らかく抱きしめられた耳元で、サラの透明な声がゆっくりと呟いて、あたしはその声にくすぐられながら目を閉じた。