賑わう酒場の入り口で、マスターはパンパンに食料を詰め込んだリュックをあたしに渡してくれた。

チャリチャリと、心なしかコインのぶつかる音がする。
「っぷ。遠慮することはないのに、ちゃっかり金をつっこんだな?」
ニヤリと笑うと、マスターは顔を少し赤らめた。
「う…うせぇ!夜に旅立つなんてお前らくらいだぞ!」
「今はちょっとの時間もおしぃんだよ。追いつけなくなったら困るしね」

酒場では、湿った顔をしていたサラも、今はあたしの隣で目を輝かせている。
あたしにとっては2度目の、そして、サラにとっては初めての旅立ちだ。

「いく?」
わざとらしく、サラを試すようにあたしは手を伸ばした。