「カモミールが入ってる。それを飲んで今日は眠りな」
「そうだな……アーシェ、ひとつだけ聞きたいことがあるんだが」
「なに?」

「この大陸の道しるべには、どこにいけば会える?」

「道しるべ?!あんた霊長にでも会うつもりなの?!……一体なにがあったかしらないけど、この大陸の道しるべは、いつからか姿を消して滅多にお目にかかることもない。唯一、かろうじてその可能性がある場所といえば、この町のすこし北の森に、ヘドニックの泉がある。いくなら、サラを連れて行った方がいい、ヘドニックは大の人間きらいだから、出くわしたら丸呑みされるよ?」
「ヘドニック……。ありがとう、アーシェ」

あたしは、寝ぼけ眼のサラを起こして担ぐと、2階まで引きずるようにしてサラを連れて上がった。
狭いベットにサラを寝かせて、あたしは部屋の中では一番整理されているホワイトオークのデスクに向かった。
オイルを燃料に萌えるランプが揺れる。

時折、1階から人の気配を感じると、まだレイヴが起きていることを気にかけながら、あたしは机の上に束のように積んである本を一つとって開いた。