「そうか。この時勢では仕方のないことかもしれないな。ところで、この町の名は?」
「無い」
「無い?町に名前がないのか?」
「違う。〝None〟。それがこの町の名前だよ」
「小粋だな」
レイブは笑った。時折痛みにしかめる顔をみて、あたしはキッチンで煮詰めていた薬をカップに注いでそれを彼に手渡した。
「痛み止め。サラの魔法は体の組織をその焼き印通りに焼いて再生してる。薬をぬったところ以外も、その焼き印が通った場所は一度焼かれたのと同じだから、痛むよ」
「いただくよ」
そういってレイブは煤けたカップを受け取った。
「無い」
「無い?町に名前がないのか?」
「違う。〝None〟。それがこの町の名前だよ」
「小粋だな」
レイブは笑った。時折痛みにしかめる顔をみて、あたしはキッチンで煮詰めていた薬をカップに注いでそれを彼に手渡した。
「痛み止め。サラの魔法は体の組織をその焼き印通りに焼いて再生してる。薬をぬったところ以外も、その焼き印が通った場所は一度焼かれたのと同じだから、痛むよ」
「いただくよ」
そういってレイブは煤けたカップを受け取った。


