「学者でも目指してるのかい?」
レイヴもつられて本を整理しながら、適当に腰を下ろした。

「いや、違うよ。称号に興味なんてない。とりあえず、これつかってくれる?」
そういって毛布を一枚、レイヴに渡すと、彼はそれを受け取って軽く払った。

「フード、とりなよ。咎人の印なら、酒場の時から気づいてる。あたしには気にする必要ないさ」
あたしの声に、はっと目を見開くと、レイヴは片手で首に焼き付けられたその印を隠した。

「……すまないな。気分を害しただろう」
「別に。ただ、その焼印、新しいね。脱獄でもしてきたのかい?」

冗談まじりに笑いながら言うと、パサリとフードを下ろした彼の顔を見て、サラが「わぁっ!」っと一声あげた。

艶々しい黒髪に、紫紺の瞳。

こりゃぁ、上物。