「アーシェ。よかったら今夜一晩の宿を紹介してくれないか?紹介してくれたら、礼に祝いを兼ねて一杯ご馳走させてもらうよ」
「礼も祝いもいらないよ。宿か、あんた文無しそうだし一晩ならうちに泊めてやってもいいよ?」
「そうか。ならば一晩、そうしてもらえると助かる。何分、急ぎで渡ったものだから、下調べもしてなくてね。泊めるついでに、この大陸のことを詳しく教えてくれないか?」

あたしは笑いかけながら、「いいよ」と頷いた。
「マスター。この二人のお嬢さんたちに、彼女達の好きな酒をごちそうしてやってくれ」

そういって彼は、再びくたびれた布袋を出すと、それをそのままカウンターテーブルに置いた。
「だかっ!いらないって!」

サラが隣でワクワクしながら目を輝かせている。

「ガァキがくだんねぇ遠慮してんじゃねぇよ!」