「なあおい、それだけでわざと赤点とか 明らかに損しかしないだろ?!」 「損なんて何も無いじゃないですか!」 俺の叫びに益田もまた叫び返し、 そして俺に詰め寄り、やっぱり叫ぶ。 「今回の期末じゃないし、 そっちで挽回すれば取り返しはつくし、 補習授業って先生がつきっきりだし! 俺にとっては得しかないですよ!」 最後には襟首掴んできて、 訴えかける瞳は、近距離だ。 そしてそのまま、 さらに彼との距離は近づく。 鼻先が触れそうになり、 そこでふと、俺は思った。 まさか、キスされる?