「どこの世界に、 縛ってキスマークつけて写真撮ったり、 突然押し倒す愛情表現がある?」 「少なくともここにありますね。 それに先生……」 そこで益田は言葉を止め、 やっぱりいいやと言うのをやめた。 ……何なんだ。 動かせるのは口ぐらい。 せめて今の続きを言わせようと、俺は唇を動かした。 いや、正確には、 動かそうと、した。 開いた口に、当たるのは低い温度の空気のはず。 だけど被せられた、熱い皮膚。 これは……キス、されているのか?