「な……なんで笑うの」
 ぷくっと口を膨らませ抗議すると、彼は「ごめんごめん」と息を整えて、「でもさ」と私を見つめた。

「いいじゃん処女。自分を大切にしてるってことだろ? なおがあげてもいいって思える人に会えるまで大事にとっておくべきだと俺は思うよ」

 さっきまで大笑いしていたくせに、真面目な顔して言ってのけた千尋くんは、窓からそそぐオレンジ色の夕焼け効果もあり神々しく見えた。