英志くんが携帯電話で連絡を取り、千尋くんと合流した。

 講堂に向かう渡り廊下で会う千尋くんは一時間ほどしか会っていないだけなはずなのに、ひどく懐かしい感じがした。

「無事だった!?」

 意気込んであゆこが千尋くんに聞く。

「え? ああ、ゆっこは大丈夫だよ。なぁ?」
 千尋くんの背中に隠れていたゆっこは憮然としたまま、こくりと頷いた。

「いや、ゆっこじゃなくて……」つと、あゆみがゆっこをみんなから引き離し、事情聴取が急きょ行われた。

 気になった私もその輪に加わろうとしたが、みさは素知らぬ顔で千尋くん達とその場に立ち止まった。

「で!? やったの? やってないの?」

 あゆこがストレートに聞くと、ゆっこはぷくっと口を膨らました。

「してない。……でも、押し倒されたよ」
 勝ち誇った顔をしてゆっこが言う。