ある日。



その日は、アミリアに代わって、妹が外に出ていた日だった。



彼女は気の強いもう一人の妹に押されて、あまり外には出ていなかったので、その外出に浮足立っていた。



気を付けてと抱き合って送り出したのを今でも覚えている。



アミリアは、お土産に何か持って帰って来ると言っていた妹を、ずっと待っていた。



…しかし結局、彼女は帰っては来なかった。



夕方、急に城の中が忙しくなった。



いつもはうるさいくらいに傍には乳母が張り付いていたのに、あの時はほったらかしだった。
をどうするか


あとから兄に説明されたことを聞いて、アミリアは世界が止まったかのように感じた。



『あの子は、誘拐されて、撃ち殺された。』



どうして?



あの子は私ではなかったのに。



犯人が誘拐したかったのは、ほかでもない自分、アミリア姫だったのに。



『お前のせいじゃない。』



ランバートはそう言ったけど、自分を責めないではいられなかった。



妹の死から、一夜明け、父王たちの議論は別の論点へと移っていた。



『アミリア姫』をどうするか、だ。



撃ち殺される場面を見られているが、このまま2人の存在を隠しておくことなどできない。



父王はどうも悪賢いひとらしく、もう一つ、重大な嘘を吐くことを決めた。