翌朝、城内は大変な騒ぎだった。



セドリック王子の国が、宣戦布告をしてきたのだ。



『姫を寄越さぬならば、攻め入る覚悟にある』と。



真っ青な顔をしたランバートが、静かにそう告げた。



アミリアは頭が真っ白になった。



自分が軽率な行動をとったせいで、大変なことになっている。



「お兄様、私…!」


「いい、行くな、行く必要はない。
女一人にプロポーズを断られたくらいで戦争を仕掛ける男のところなどに大事な妹をやれるか。」


「しかし…。」



手で制して、アミリアを黙らせる。



「それよりも、もっと大変なことがあるんだ。」


「…何でしょう。」



戦争よりも、大変なこと?



ランバートは顔を歪めて、アミリアの頬を撫でる。



不安になった。



思わずアミリアはランバートの手を握る。



ランバートは掠れる声で言った。



「お前が手に入らないなら、お前を殺すと。」



今度こそ、何も考えられなかった。



殺される。



私が?