心はいつも、貴方とともに

「…あの、ありがとうございました。」


「いえ…。
お役に立てて、光栄です…姫。」



照れたように、彼はもぞもぞとしている。



アミリアはそっと彼の隣に立った。



「…歩きますか?」


「はい、ぜひ。」



アミリアは差し出された腕をとった。



見上げると、彼は優しく微笑む。



二人は淡い灯りで照らされる庭を連れだって歩いた。



その間、彼は今までの男性のような、必要のない世辞は言わなかった。



それがアミリアの気を許させたのかもしれない。



気が付くと、アミリアは自分から話しかけていた。



「お名前をうかがっても?」


「…ジークと申します。」


「ジーク様、ですか。」



聞いたことのない名だった。



服装からして、高級貴族ではない。



どこの方かしら。



アミリアは一人首を傾げる。



しかし、考えても答えがでるようには思えなかったので、尋ねようかと迷いもしたが、気まずい雰囲気にはなりたくなかったし、知らなくてもいいような気がしたので黙っていた。