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翌朝、まだ日が昇らないうちに、ジークはそっと部屋を出た。
まだ使用人達も起きだしていない。
廊下は静まり返っていた。
足音が響かないように、そろそろと足を運び、アミリアの部屋へと滑り込む。
「ミア。」
小声で呼びかけると、はいと小さな声で返事が返ってきた。
「用意は?」
「出来てます。」
暗い室内を手探りで進む。
そっと、ジークの手に小さな手が絡みついてきた。
微笑んで、きゅっと握る。
「行こう。」
「はい。」
顔は見えないが、声が上ずっている。
あぁ、楽しみにしてくれていたんだな。
また顔がにやけた。
二人で足音を殺して階下まで進み、使用人用の隠れた通路を通って門まで移動する。
アミリアはそれを見て、感嘆の声を上げていた。
「こんなところに道があったのね。
知らなかった…。」
「当たり前だ、目につかないように作られているんだから。」
「それでも、ずっとここに住んでいるのに、知らなかっただなんて。
私は本当に何も知らないのね…。」



