すべてが終わってしまえばいいのに。



世界など、回らなければいいのに。



サラサラと綺麗な音を立てる噴水を眺めていながら、アミリアの意識はそこになかった。



どうしてこんなことになってしまったのだろう。



私はただ、結婚したくないと言っただけなのに。



こっ酷く振ったわけではないのに。



どうして国を巻き込んでの大事なんかにしてしまったのだろう。



手元に陰がさし、ひらひらと花びらが降ってきた。



顔を上げると、優しく微笑むジークがいる。



アミリアは強張っていた心がほぐれていくのを感じた。



「何を考えてた?」



優しくそう尋ねながら、ジークはアミリアの隣に腰を下ろした。



アミリアは答えずに、質問を返した。



「貴方は、何を考えてる?」


「俺?
そうだな、明日の天気のことかな。」



案外かわいいことを考えるものだと、アミリアは微笑んだ。



「どうしてまた?」



その質問を待ってましたと、ジークはにやりと笑う。



「明日は街へ出かけようと思って。」


「あら。
楽しそう。」