ジークは寝不足の頭を軽く振った。



昨日は眠れるような状態ではなかった。



もし許されるのなら、部屋中を駆け回っていたくらいに高揚した気分だったのだ。



まさか、むこうからあんな言葉が出てくるなんて。



しかし、自分のほうから切り出せる話ではなかったので、ありがたいことだ。



彼女も同じ気持ちだっただなんて。



未だに信じられない。



まさか、朝起きれば夢だっただなんてことがあるんじゃないか。



そう思うと眠れなかった。



覚醒しきった頭で眠れるはずもなく、ジークはベッドに横になったまま、一睡もせずに朝を迎えた。



早くアミリアを迎えに行きたくて、そわそわと服装をチェックしてドア付近をうろうろする。



まだ、早い時間だ。



いつも彼女を迎えに行く時間はまだまだ先。



こんなに時間が早く進めばいいと思ったことはない。



情けない。



こんなに雑念に捕らわれていていいわけがないのだが、どうしても気持ちが高ぶってしまう。



駄目だ。



俺は冷静さを評価されているんだから、それを裏切るようなことは出来ない。



必死で落ち着こうとしているとき、コンコンとドアがノックされた。