「ハッピーバースデー、秋!」 大きなホールのケーキを、秋の目の前に置く。 大きな秋の瞳は、驚きからか余計に大きく見開かれている。 「ほら、今までちゃんとお祝いしたこととかないでしょ?だから頑張って作って―――」 言い終わらぬうちに、秋が私を抱きしめた。 「ありがとう春!すっごく嬉しい」 「うん。プレゼントとか用意できなかったから、せめてね」 「僕はプレゼントなんていらないよ。春が今年も側にいてくれただけで幸せ」 秋の腕に力がこもる。 嬉しいけど、ちょっと苦しい。