「あー、卵って広告の品だったんだー」 自然体を装って言ってみたが効果はなし。 相変わらず秋は私の手を握り、警戒の眼差しで周囲を見渡している。 そんなに警戒しなくても、長谷川君は襲いかかってこないから。 「秋、小麦粉さがしてきてくれない?」 少しの間でも離れてくれることを願って、お願いしてみる。 すると秋は、 「いいよ」 案外すんなりと小麦粉さがしに行ってくれた。