隣の彼女が厨二病だったんだけど。





SP10人に勝とうなんて思ってはなかった。

勝てるわけがないとわかっていた。

でもここまで無様にやられると、ちょっと参る。

武器持ってるとか反則だろ。


グラウンドに足を踏み入れた瞬間、後ろから撃たれた。

神坂レイを担いでいたのは右肩だったから、わざと左を狙ったんだと思う。

その衝撃でバランスを崩した俺は、彼女をなんとか落とすまいと耐えたのだけれど、直後に後頭部を殴られた。

いや、もしかしたら蹴られたのかもしれないが、背後からだったのでよくわからない。

一瞬意識が飛んだ束の間に神坂レイを引き離され、おまけにナイフで切られる始末。


瞬殺ってこのことか、と思った。


もう倒れ込むしかなかった。

左肩が痛い。熱い。

頭がぐわんぐわんと揺れる感覚。

切られた箇所が脈打つ。

上手く息ができない。酸素を求めてあえぐ。

誰かが俺のすぐ側へと歩いてくる。

髪の毛を掴まれたのは揺れる頭でも把握できた。


「やめてッ!!」


神坂レイの声がする。

髪の毛を引っ張られ自然、頭を持ち上げられる。

霞んだ視界に映るのは、サングラスで顔のわからないSP。

首元に冷たい感触。微かに痛い。

ナイフか。