出会った時が嘘みたいに話してくれる。
関わるなと言われていた頃が冗談みたいだ。
それがうれしくてまた走れた。
我ながら単純なヤツだなと思う。
でもうれしいんだ、しょうがない。
「……そろそろ、学校だよな……ぜぇ…はぁ……」
何度目かわからない、もう10回は超えてるだろうと思われる休憩。
辺りは真っ暗で、明かりは街灯とか家とかしかない道。
学校の近所なのは確かだった。
「うん、もう少しだと……ッ」
返事をしかけて、急に口を閉じた神坂レイ。
その様子だけでもう把握できた。
「……SP?」
「…………。そうみたい」
「どこ?」
「右の方から。まだきっとこちらには気が付いていないはずだけれど」
言われた方向へと顔を向け、目を凝らす。
しかし暗闇なので人影が確認できない。
俺に邪気眼とかあればいいのに……もしくは千里眼とか。
そう考えると神坂レイってホントすごいな。もしかしてその眼帯の下は邪気眼なんです……?
「…動かない方がいい…?」
「でもこちらに近づいてきてる…ゆっくり遠ざかって行けばなんとか……」
その時だった。


