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学校まではそう遠くない。
電車で一駅、チャリでも行ける距離。徒歩だと遅刻するからムリだけど。
その距離なんだけど、やっぱり人ひとり抱えて走っていると、体力の消耗はハンパなかった。
「……大丈夫?少し休んだ方が…」
「平気……まだまだ……!」
何度も立ち止まって息を整える俺に、肩に乗ってる神坂レイも不安でしょうがないらしい。
それもそうだ。
きっと申し訳なさも募っていると思う。
迷惑でもなければ重荷でもないから、そんな心配はしなくてもいいのに。
ただちょっと、日頃そんなに走り回らないから、息がすぐ切れてしまうだけだ。
「……くそう…こんなことなら日頃から走っておくべきだった……」
「……日頃、何をしているの?」
「え、ゲーム……と、あとアニメ見たり……あと寝てる」
「……なんだか君らしい」
「い、いや別に引きこもってはない!断じて!ちゃんと外に遊びに行ったりもしてる!」
「私は別に、君がオタクだと言ったわけでは……」
「思ったんだけど神坂さんって意外にネット用語とか知ってるよね…?」
「知ってる。いろんなこと知りたいと思ったら、それも“いろんなこと”の内に入るでしょう?」
「なるほど……」
そんな会話をしながら少し歩いて、また走り出す。


