どれくらいの間邪魔になってたのか考えると恐ろしかった俺は「すんません!」と謝りながら慌ててどく。

すると美少女……いや、神坂レイは「いいえ」と言いながら玄関のドアを開ける。

ギィッ……と古ぼけた音が響いた。

神坂レイは玄関を開けたまま立ち止まり、こちらを振り向く。


「これからよろしく、高橋くん」

「……あーいえこちらこ」

「と、言いたいところなのだけれど」

「……は、はい?」

「私に関わらない方がいいわ」


ワタシニカカワラナイホウガイイワ。

わたしにかかわらないほうがいいわ。


――私に、関わらない方がいいわ。


バタンッ。


玄関のドアが閉まる。

そこに神坂レイの姿はもうなかった。


……え、なんで?


という疑問は、脳内に置き去りにされたまま残った。

朝日はすっかり昇っていて、今が何時なのかもうまったくわからない。

が、しかし。


「ハッ!しまったゴミ出しうわ今走ってったのゴミ収集車じゃねマジかよ待ってマジ待ってこのゴミも回収してあげてぇええッ!!」


このゴミが部屋の隅に放置されることだけはどう考えても確定だった。