街中へ行けばとりあえずは安心なんじゃないかと思った。

しかし2つ目の曲がり角を曲がったところで、早くも壁が立ちはだかる。


「……うわ、黒スーツ……」


居た。

曲がり角の向こうに、周りの様子をうかがっている黒スーツの人影が。

時折耳に手を当てて何かを喋っているようだ。

確実にSP(悪)だろ……あの仕草は確実にSP(悪)だろ……。

冷や汗を拭いつつ、角に隠れて相手の出方を見る。


「……アイツ等はSPだから、無線で連絡を取り合ってる」


俺の肩に担がれたままの神坂レイが、小声で言う。

耳元で喋られるとちょっと心拍数が上がるわけですけど今はそれどころじゃないから落ち着け自分。


「私を見つけるとすぐに仲間が集まってくる」

「なんだよその野生のピラニア……」

「街中に逃げても、見つければついてくる。人気のない場所に移動したら最後、襲撃されるのがオチ」

「じゃあ、逃げても時間の問題ってことか……」

「私もそうした結果がこれなのだから、同じことだと思う」

「ってことはなんだ、アイツ等を倒せばクリアなわけですね」

「諦めさせなければ意味がないから……」

「つまりアイツ等を倒して俺等の方が強いぜアピールすればいいってことだな」

「そ、それはそうかもしれないけれど、そんなに簡単な話じゃ……」

「そうと決まれば場所だよな!やっぱ広いところがいいからグラウンドかな!よし学校行こう!」


くるりと踵を返し、学校がある方向へと足を向ける。

「ちょ、ちょっと君!人の話を聞いてからっ…そんなに走らないで怖いっ!!」という神坂レイを肩に乗っけて学校へ行く。