隣の彼女が厨二病だったんだけど。





もはやクエスチョンマークしか浮かんでいない神坂レイを差し置いて、俺はポケットから携帯を取り出す。

電話帳から目当ての名前を探しだし、通話ボタンをプッシュ。

コール音は5回ほどで途切れた。


『……――なんだ高橋。死ぬのか?』

「出鼻をくじくことに定評のある坂本クンマジパネェっす!」

『そうだろう。』

「じゃねぇよ!あのさ、お前まだ家帰り着いてないよな?俺ん家の近くだよな?そうだよな?」

『強要されても困る、と言いたいところだがその通りだ。』

「さすが同志!!わかってらっしゃる!!」

『なんなんだお前は。何か用事があって電話をかけてきたんじゃないのか。例えば、神坂レイのこととか。』

「そこまでわかってらっしゃる坂本マジダイスキダワ!!」

『キモイ失せろ。』

「どこまでもヒドイ坂本に頼む。今すぐ戻ってきてくれ!」

『は?』

「アパートの周りに居る怪しいヤツ等をどうにかここから散らしてほしいんだが!」

『…………。あぁ、なるほど。把握した。』


今すぐ行く。

という言葉を最後に、坂本は通話を切った。

今すぐ行くだってよ……坂本マジかっけぇわ……。

しかし残念だったな相手が俺で!ふはははははははっ!

とか思いながら携帯をポケットに戻していると、きょとんとしていた神坂レイがようやく状況を把握したように瞬きをした。


「……もしかして坂本くんに手伝ってもらうの…?」

「ヤツは無駄にずる賢いので確実にイケる!幼稚園の頃から一緒だった俺が言うので間違いないです!」